AIに経営判断は可能か

      2021/09/10

ようこそ 岡山の経営コンサルタント カカトコリです。
 
「マスコミ報道の裏側を見抜けるようになると良いよ。
 見抜き方は、その情報で誰が得をするのかという視点。」

よく、セミナーの雑談で、そんなことをお話しする。
 
今年、気になっていたのは、ずばりAI(人工知能)

マスコミや、周りの友達を見てて、乱暴な分析かもしれんけど

騒いでいるのは、俗に言う「文系頭」の人のような気がする。

「理系頭」の人で、騒いでいるのは、メーカーで開発にあたっている技術屋さん

文系頭のお偉いさんから、無理難題を押し付けられているような気がして仕方ない。

そこで、経営コンサルタントという仕事柄、人工知能の可能性を考えてみた。

本当に人工知能は無敵なのか?

写真はカカトコリさんが学生時代にお世話になった「電算室」のイメージです

◆ AIに経営判断は可能か

ちまたでは、人工知能だ、AIだと騒がれていますよね。

自動車の自動運転への活用、画像認識から、顔認識に応用しさらには防犯や検挙への応用、義務教育分野に活用することでの落ちこぼれ防止などなど、いろんな分野への応用が期待できそうで、マスコミでもいろいろな報道を目にしたり、耳にしたりします。

高度医療の現場や、金融機関の融資判断にもAIの人工知能技術を活用しようということで、開発が進んでいるみたいです。

多くの報道を見ていると、その応用分野の広さに驚くとともに、こんな分野で応用できたら、楽になるのになぁとも思います。

経営コンサルタントと言う仕事柄、多くの経営者さんのお悩みや困りごととも接していますが、果たして経営判断にAIを応用できるでしょうか?

AIの技術はコンピューターの進歩が必須条件になります。

コンピューターの処理スピードが格段に進歩し、普及し、生産コストが下がったことが普及を後押しし、さらに普及していくという好循環が大前提になります。

今のように、コンピューターが普及したのは人類の歴史から見ると、ごくごく、つい最近の事です。

パソコンの語源はパーソナルコンピューター。

カカトコリさんが学生だった約30年前には、工学部だったので、大学にはコンピュータールームがあり、実験データーの集計処理などには使っていましたが、まさか、1人で何台ものパソコンを使い分ける日が来るなんて想像もしていませんでした。

そのパソコンですが、現時点ではカカトコリさんが学生時代に習ったことと、本質的なところは全く変わっていません。

教えたこと以外はできない。

演算スピード、処理スピードはすごい勢いで進歩してきました。

コンパクト化も進みました。

が、教えたことしかできない。

「人工知能」という言葉から、コンピューター自体が考えてくれると勘違いしている方が多い。
コンピューターがはじき出すのは、確率論的には、この確率が高い、というだけで、参考にはなっても、それらは、過去データーを人間が教えたプログラムに基づいて演算した結果にすぎません。

たとえば、最近、天気予報が当たる確率が高まりました。

新しい気象衛星が打ち上げられたからではありません。

気象衛星が新しくなり、情報収集能力が発展しても、その情報を処理するコンピューターがのろまでは、大変なことになります。

「明日の天気予報を予報せよ」と、人間が人工知能に命令したとしましょう。

その演算(情報処理)に一か月とか、一週間とか、かかっていては「明日の天気予報」じゃなくなってしまいますよね(笑

過去の事例と、最新データーを照らし合わせて、確率的に判断しているにすぎません。

では、過去の事例と最新情報を加味して、景気や経営判断に応用できるでしょうか。

カカトコリさんの知り合いの社長さんに、製造業でもうすぐ年商が100億円に届く勢いの経営者さんがいます。

創業当時、一番、条件が緩いことで有名な、ある融資を申し込みました。

そのときには、融資を断られたそうです。

「この野郎」と奮起したその社長さんの会社は、その後、リーマンショックの時以外は増収増益を続け、もうすぐ年商は100億円になります。

法人相手のお仕事をしていると、売掛商売の方も多いのではないでしょうか。

ぶっちゃけ、与信管理にAIを導入したら、取引先が無くなるかもしれませんよ。
(いや、冗談抜きで)

人間には「情」とか「気」とか呼ばれているものがあります。

見えないし、客観的に数値化できません。

どうやって、人工知能にプログラムしますか?

もっといえば、その時の「気分」「気持ち」「モチベーション」「テンション」などなど

さらには、経営者自身の夫婦仲や、社員さんとの親密度、信頼度

決算書にしても、一時期、話題になった「のれん代」

不確定で、かつ、数値化できないものがいっぱい、いっぱいありませんか。

つい最近も、創業50年以上の企業さまをコンサルさせてもらいました。

いくつかコンサルした中に、取引先の分析方法のひとつである、ABCD分析を紹介しました。

Aランクでも、取引を遠慮したい相手先もあれば、Dランクでも今後に期待できる取引先が含まれるのが現実なのです。

コンピューターはこういった例外データーの処理判断は大の苦手。

得意なのは、データー処理のスピードなのです。

もちろん、予算があまり余っているなら、そんなプログラムも組めるかもしれませんが、少なくとも資金力に乏しい我々、中小企業には非現実的なことじゃないでしょうか。

ということで、今日のまとめ

最先端技術も所詮は道具のひとつ
使いこなすのは人間

追記
そういえば、大学の入試の論文にそんな主旨の事を書いたことを思い出した。
ドップッラーレーダーの限界 とかいうテーマで

追記 その2
たとえば、「リッツカールトンのサービスは最高」という評価をよく耳にする。
が、それは、過去に宿泊した時のリクエスト(朝刊の好み、モーニングの卵料理の好みなど)を蓄積したデーターベースがあるからできること。
そして、その個人情報を世界中のリッツで共有しているだけの事。
本当に、一泊目のなにの情報もない状態から、自分の好みに合ったサービスを提供されたら、気色悪くないかい?
そういうことだよ。

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